この所説の報道

 この所説の報道がそんなに間違っていなかった証拠は、之を反駁した陸軍の非公式声明(『東朝』四月二十八日付)に見られる。少し長いが念のため全文を引用しよう。「国防と財政との調整に就いて稍々誤解の向きもあるようで、中には刻下の我国の非常時は主として我が軍部によって作られたものであるかの如き口吻を漏らすものあるは、挙国一致当面の時局に対処すべき現下の情勢において甚だ遺憾とせざるを得ぬ。今や極東の安定勢力として立つ日本の使命は空前未曾有の重大なものである。しかしてこれが達成のための礎たる満州国の独立保全、日満不可分関係の向上強化等のためには、国を挙げてあらゆる努力を尽さなければならぬ。国運の進展を忘れ国策の遂行に遅疑するが如きは、我国家民族の進展を阻止せんとする退嬰の見解であって、断じて同意する能わざる所である。「しかもこの種国策を遂行し日本の正義を擁護発揚するためには、我が国防力の充実が中心的急務なることはここに多言を要しない。努めて列強と提携し平和的外交折衝により進むべきは軍部も素より望む所である。然れども軍備が不充分なる場合においては外交折衝の威力、実行力を減殺し、戦争誘発の危険を大ならしむるものである。「陸軍今次の予算は現下の我国の国防の重責を果す為真に欠くべからざる恒久兵備の基礎的事項である。この真に国家国民を思うての従来及び今次の予算要求に対し、これ以上軍部が無理押しをすれば恐らく国民の怨嗟の府となるであろうと云うが如きものありとせば、真に国民に対し軍部を誣うるの甚だしきものと云うべきである。「尚国民の全段階に渡り人心の安定をはかり真の意味に於ける挙国一致の実を挙ぐるは軍部としても広義国防の見地上最も望む所なるは、既に屡々言明しある通りである。軍費の要求が直に一部窮乏せる国民の負担を加重するが如き懸念は、むしろ為政者の工夫により是正せらるべきものと信ずる。我国の国富の増加は近年著大であり、又日満不可分関係の確立せらるる限り国策遂行のため必要なる諸要素は往年に比し著しく充実せられあるを以て、よくこれを運営して、外、国力の進展に資し、内、国民の要求を満たすため、為政者が更始一新、速やかに我国力の進展に対応すべき財政政策の確立を実現せらるることを切望してやまぬものである。」

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