社会的地位

 私は今、問題を特に官吏に限って見て来たが、公吏に至っては、この官吏の有つ特有な社会的地位に準じて考察することが出来る。だが、社会的地位というものを、社会的待遇(例えば俸給・身分保証・恩給・社会的尊敬・其の他)というものと考えない限り、公吏の社会的地位は官吏に較べてものの数ではない。云うまでもなく公吏は国民を指導したり何かをなし得ようとは思わないだろうし、又そう思われてもいない。まして支配者ブルジョアジーをやだ。だが夫にも拘らず公吏が最近府県会議員や市町村議員からの各種の不当なる強制に対して、反抗を試みるようになって来たことは、吾々の今の問題にとって興味がなくはない。なぜなら、之を官吏の場合に移して考えて見れば、新官僚による内閣審議会(之は、素人代議士達の容喙を許さぬために試みたものだ)や、ギャング狩り(之は「有力者」を無視しなければ企てられない)やが、正に之に相当するだろうからだ。でここでも亦、公吏の社会的地位は、多少高騰しつつあると見ていいだろう。 最後に、官公吏も亦、一介の勤労中間層のものであるという「社会的地位」は、無論忘れられてはならぬ。日本では例えば官吏のストライキというものは官吏の存在原則上、不可能なことになっているが、ここに一つの重大な問題があるのである。社会的役割としての「社会的地位」と、社会的待遇としての「社会的地位」との矛盾を、最も直接に感じ得るものの一つは(尤も実際には彼等の大抵は之を感じる程に鋭くなく良心的でもないが)、官吏だろう。それから又之に準じる公吏であろう。一例として、労働争議にかり出される役割についた下級警官のことを考えて見ればいい。[#地から1字上げ](一九三五)[#改段]

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